[an error occurred while processing this directive] ■掲示板に戻る■ レスを全部読む 最新レス100
文体模写 スレッド 2 ☆1 〜 100☆
1 名前: 名無しさん 投稿日: 2000/08/04(金) 14:13
スレッド>
http://mentai.2ch.net/test/read.cgi?bbs=book&key=963421916
の第2シリーズです.


2 名前: ルイ=フェルディナン、ザムザを治療する 投稿日: 2000/08/04(金) 17:28
原文もあらためて書いておきます。

ある朝、グレゴール・ザムザが不安な夢からふと目覚めてみると、
ベッドの中で自分の姿が一匹の、とてつもなく大きな毒虫に
変わってしまっているのに気がついた。固い甲殻の背中を下に
して、仰向けになっていて、ちょっとばかり頭をもたげると、
まるくふくらんだ、褐色の、弓形の固い節で分け目を入れられた
腹部が見えた。(カフカ『変身』) 夢だって?……何の夢どころか!……私がこの目で見てるんだから! グレゴール・ザムザ、それがやつの
名前さ、これがうなされっぱなしで! ≪うー!うー!≫ いやまいったね! こりゃまるで虫、じゃなかった
牛だ!……いやその虫なんだが、やっこさんとうとう目覚めて気付いたんだ……驚いたね!……毒虫だ!……
それもとびきりの!……いやそれほど大したもんじゃないさ……私はもっと下等なうじ虫をゴマンと知ってるんだ!
……売国奴が、ナチの手先がほざきやがる?……やれやれ!……奴らは私が『旅』を書いたことに我慢ならないんだ……
とんだ剽窃野郎ども!……モーリヤックにラランゴン、それにいんちき野郎のタルトル!……占領中は俺の足元に
這いつくばってやがってたくせに、戦争が終わった途端に若者のアイドルになりすまして、無駄口叩きのサル殿様めが!
……奴なんぞ俺のケツの穴さ!……
 また諸君を置いてけぼりにしちまった……決して諸君を忘れてたってわけじゃない……ザムザの話だった、それで
やっこさん、ちょっとばかり頭をもたげてみた……仰向けの状態で、固い甲殻の背中を下に……そして自分の腹を見る
……まるくふくらんで、褐色の……おまけに節つきの!
≪―先生、どうしたらいいでしょうか?
 やっこさん大弱りだ。
 ―食餌療法ですな、ヌーユ(うどん)とミネラルウォーターの! それしかありませんよ!
 ―Ja! Ja!(ええ! ええ!)≫
 諸君には信じてもらえそうもない……なにしろこの私だって、毒虫の治療なんざ生まれて
初めてで!……まあ動物ならいくらでも……私は動物には滅法優しいんだ……(以下略) セリーヌです。誰かがやってくれるだろうと思って楽しみにしていたらとうとうスレッドも
変わってしまい、なら自分がやってみるかと思って敢えて書いてみました。でも難しい……
批判があれば甘んじて受けます。


3 名前: 投稿日: 2000/08/04(金) 17:29
段落分けがうまくいってない・・・どうしたんだろう。


4 名前: フロム・エー 投稿日: 2000/08/04(金) 17:30
やってきた夏休み!パッと稼いで、パッとあそぼう!
グレゴール・ザムザが夏期激短バイト大募集!!!!

職種:軽作業(建築・イベント・毒虫等)
給与:日給(1)キュウリ(2)ラッキョウ※全額即日払い!

勤務地●プラハ(当社請負先)※現場直行直帰●(1)8:00〜17:00
(2)9:00〜17:00 ※虫により多少異なります。他の虫も有日給
全額即日支払い!期間●いつまでもOK!長期・永久大歓迎!!
18〜45歳迄※あなた以外不可※登録制●TEL問い合わせの後
面接●保険証(即決の為)写真(尊厳を失わないため)要持参

社名(株)グレゴール・ザムザ(分泌ッ業)


5 名前: 名無しさん@1周年 投稿日: 2000/08/04(金) 17:34
新スレッドもお題は「変身」のままなのね。


6 名前: 名無しさん@1周年 投稿日: 2000/08/04(金) 23:28
「悪魔の辞典」ってスレッド作りません?


7 名前: ミュージックジャーナル 投稿日: 2000/08/05(土) 00:12
グレゴール・ザムザはある朝突然毒虫になったらしい・・・MJ


8 名前: 世界まるみえ 投稿日: 2000/08/05(土) 00:28
この番組では今までも海外の貴重な映像を紹介
してきた。そして、今回も極秘に入手した極め
つけ映像。
ゴカイ度200%
ここ、モルダウ川のほとりのある町。
最近奇妙な人物が町中の評判である。
寝袋に入り込んで這う姿はまるで虫。
道行く人の好奇の視線にさらされながらも、
彼はいたってご満悦のようす。
「親父もお袋もいいかげん目を覚ませっていうけれど、
目が覚めたらこの姿だったんだ。」
本気で虫と信じ込み、横断歩道を渡るたび交通渋滞を
引き起こすこの男。許せる許せない?

たけし 所 植草 ラサール 釈
× ○ ○ × ○

楠田「ということで、イモムシコロコロ競走ゲーム!」


9 名前: 赤ずきんちゃん@1周年 投稿日: 2000/08/05(土) 01:34
「おばあちゃんの背中はどうして固いの」
「それはね。お前とお馬さんごっこをしやすいようにさ」
「どうしておばあちゃんのお腹はまるくふくらんでいて、褐色で、
 弓形の固い節で分け目をはいっているの」
「お前の洋服が泥だらけになった時に洗濯板がわりに
使うためさ」
「どうしておばあちゃんは虫なの」
「ちがうよ」
「毒虫じゃない」
「…………」
「毒虫だってば」
ドクッ!無視……。




10 名前: アーサー・C・クラーク 投稿日: 2000/08/05(土) 02:44
タプロバニーでは沈んだ太陽だが、宇宙では太陽の高度に気をもまされる必要はなかった。
その太陽光に照らされた住居の一室で、グレゴール・ザムザは目を覚まそうとしていた。
惑星アパートメント---周囲に広がる緑もなく、足の下に土はない。
ただそこには闇夜につつまれた無窮の静寂のみがある。
地球の軌道をぐるりと取りかこむリングの甲殻が太陽と地球の放射熱で暖められ、
まるで寝返りをうつようにねじれる。だがこれは設計者たちの計算どおりだった。
ねじれは地球の自転にそって1日かかってリングを一周する。
ねじれた部分がふたたび太陽熱の洗礼を受けて身をよじるころには、もう充分に冷えているのだった。
ねじれが起こすアパートメントのおごそかなきしみが、ザムザを夢から呼び覚ました。
アパートメントに住む者ならば誰でも目覚ましがわりに聞いている音だった。
ザムザはあたりをそっと見まわした。首をひねりながら、彼は胸から腹部へ、
そして手足へと視線を走らせた。彼がその光景を理解できたのは、もうしばらく後のことだった。
そしてザムザは知ったのだ---ちょうどこの瞬間に地球上の誰もが知ったように、
自分がもはや普通の市民の暮らしを送れないことを。しかもそれは、幾千万年もの年月を越える
旅のように絶望的であることも。その褐色の甲殻---研究室で見なれている標本とは大違いだった
---まるく膨らんで節のついた腹部は、まるで悲鳴のように小さく音を立てていた。
彼はもはや人類ではないのだ。


11 名前: 正史三国志 投稿日: 2000/08/05(土) 03:03
黄龍元年、独逸に住むグレゴール・ザムザという者が毒虫に変身したという報告があった。[一]

 [一]『捜神記』にいう。朝にザムザが目覚めると、自分が毒虫に変身しているのに気がついた。
   寝床に横たわったザムザの体は茶色で、殻に覆われていた。邑の者はおおいにあやしんだ。
   臣裴松之が思うに、この逸話は『変身』から取られたものであろう。


12 名前: 細野晴臣 投稿日: 2000/08/05(土) 06:47
次はモア・ザムザーよ!



13 名前: 安部公房 投稿日: 2000/08/05(土) 10:34
 いつもどおりの朝になるはずだった。
 何時間眠っていたのか覚えていない。ベッドの足もとで誰かがタバコをふかしている夢をみた。煙が邪魔だから追い払おうと思って、右手でベッドの下の空間を半円状に払った。良く研いだ鎌で柔らかい青草を薙払う、意外なほど軽快な切れ味。
 手を眼の前にかざしてみた。これは何だろう。黒光りする殻。硬く、しかししなやかな、畳針のような爪。
 左手も持ち上げてみた。空気を切り裂く音。こっちもだ。
 左脚を突っ張って、尻を支点にして身体を右に傾けようとした。思いがけないことに、背骨の20センチメートルくらい下で身体が支えられている。北京鍋を背負った感覚。身体を反対側に切り返してみると、背の曲率の見当がついた。もともと猫背だったので、そんなに深刻ではない。それにゆったりした上着を着ればあまり目立たないだろう。
 それにしても手はどうしたんだろう。心因性の幻視だろうか? そうかもしれない。ここ3週間ほど、休暇もなかったのだ。
 起き上がろうとして、ちょっとばかり頭をもたげると、まるくふくらんだ、褐色の、弓形の固い節で分け目を入れられた腹部が見えた。そういうことか。おれは甲虫になっていた。


14 名前: モンテローソ 投稿日: 2000/08/06(日) 00:31
 目を覚ますと、毒虫はまだそこにいた。


15 名前: 銀河万丈の声で 投稿日: 2000/08/06(日) 00:51
不安な夢が予兆だったのか。
黒く光る甲殻。褐色の節になった腹部。
地の底を這う、一匹の毒虫となった己自身を見る。
これは現実か。それとも幻覚か。
問いかけの果てに得られる物が悪意の果実だけだとしても。
次回『変身』。
来週も、ザムザと一緒に不条理につきあってもらおう。



16 名前: >15 投稿日: 2000/08/06(日) 00:53
いいね! その手も有ったか(笑)


17 名前: サザエさん 投稿日: 2000/08/06(日) 00:58
マスオです!
もう20年も前から妻が裸足で猫を追いかけたり、
買い物にでかけて太陽に笑われたり、
ご近所の手前、神経をすり減らす毎日を過ごしています。
これこそが生きることの不安、という奴でしょうか?

さーて、来週のサザエさんは、
「カブト虫」
「城」
「アメリカ」
の3本です。

・・・じゃんけんをしたいが、俺の手はすでに節足だ



18 名前: 名無しさん 投稿日: 2000/08/06(日) 17:41
age


19 名前: 名無しさん@1周年 投稿日: 2000/08/07(月) 05:33
このスレ好きなのでage


20 名前: 中国伝奇物目次 投稿日: 2000/08/07(月) 11:14
第1回
 邪武者、毒虫に変じ
 家人たち、慌てふためく 


21 名前: 「ムー」総力特集 投稿日: 2000/08/07(月) 11:25
人間毒虫化現象の謎を追う
 かふかあきお

チェコ国プラハにて、人間が毒虫化するという奇現象が報告された。
果たしてそれは霊の祟りか、黒魔術の呪いか、それとも……
人間毒虫化現象の裏に隠された恐怖の神秘現象を追う!

第1章 突然の毒虫化は謎に満ちていた

Д 朝起きたら虫に……

 その日、グレゴール・ザムザ氏は寝覚めの悪い朝を迎えた。不安な夢を見たのだ。このような悪夢というのは、予知夢の可能性がある。わたしたち人類が潜在的に有している予知能力を、ザムザ氏も知らず知らずのうちに発揮していたらしい。

 しかし、ザムザ氏の身に起こったことは、あまりにも不条理極まりない現象であった。なんと、氏の肉体は毒虫に変型していたのである!

 一体、人間が毒虫に変化するなどということが存在するのだろうか? いや、それはまぎれもない事実なのだ。我々はまずその事実を受け入れ、しかるのちにその背後に潜む「神の意思」を探らなければならない。

Д それはまさに毒虫

 固い甲殻の背中を下にして、仰向けになっていたザムザ氏。少し頭をもたげると、なんと、そこに見えたのは、まるくふくらみ、褐色の、弓形の固い節で分け目をいれられた腹部だったのだ! これが驚かずにいられようか? まさに、自然を無視し、破壊し続けてきた現代人に対する警告ではないだろうか。わたしたちはこの事実から目を逸らしてはならない……。


2 名前: 昔ムー民だった人 投稿日: 2000/08/07(月) 18:23
>>2123>
個人的にウケました。


23 名前: しゃべくり変身 投稿日: 2000/08/07(月) 20:21
−−もしもし…。もしも‥
−−わたしが〜家を〜♪
−−アホ、しょもないことすなっ。
−−おう、その声は和戸君やな。
−−そや。和戸や。
−−おれや。保住や。
−−わかっとるわ、俺が電話したんやないか。
−−それはそや。しかしなーおまえ、養老の滝にチョコ食いに行く、ゆーとったんとちゃ
  うか。
−−アホ、おれはチェコにおるんや。
−−ひえ〜あわ〜むぎ〜ビールー飲みたい。
−−もうええか?実はな。また、相談したいことがあるんや。
−−なんや、女にでも惚れたんか?
−−うん、よおわかったな。細身でなかなか可愛い娘なんや。ご当地の。ほでな、可愛い
  んや。
−−電話切るで。おれも大概暇やが、ひとのノロケー聞いとれるほど暇ないよって、大体
  おれにそんなん話したかて役にたたひん…
−−待て待て、話の腰を折らんと聞いてえな。これから奇妙な事件の話になるんや。保住
  やないと解決できひんて。
−−その話い長いんか?長いときは勘弁な。ずーっと立ってるのもきつーてな。
−−なんやあ。座って聞けばえやろー?
−−おまえ腰折るなて。
−−アホ、おれの話を黙って聞けちゅうこっちゃ。座って聞け。腰折りたくなければ、寝っ
  転がってもええで。でな、ご当地で可愛い娘さんと仲良うなったんや。話通じへんけ
  どな。その娘(こ)には兄さんがおってな。セールスマンらしいんや。でな、その兄
  さんがな。朝、部屋から出て来いひん。代わりに兄さんの部屋から出て来たんはごっ
  つうでかい毒虫でな。おーい、聞いとるんか。おーい。おーい。鼾かいとる。困った
  な。保住に解決できひんと。しもたー。デートの時間や。金欠やしー。市場で林檎で
  も買おて…


24 名前: 小野不由美 投稿日: 2000/08/07(月) 20:23
 夢を見ていた。
 危機の接近とそれから逃れようのないことに発する焦燥感がひどく重苦しく不快な夢
だった。
 彼はその夢から逃れるために目覚めた。しかし、夢のもたらした不安は去らず、それ
はやはり不快に思えた。
 とりあえず周囲が自身のベッド、いつもと変わらないとそのときは考えたベッドに少
なからず安心した。
 すこしすると、自身のベッドらしきものの見た目に、意識の上に明瞭にはわからない
違和感を覚えて、目覚めても不安を引きずっていることに気付いた。しかし、それが何
によるものかはっきりしない以上、それについて深く考えるのは止めた。
 とにかく起き上がろうとした。ところが、起き上がれない。力が体重に負けて、身体
が振り子のように、ベッドの中央に戻ってしまうのである。もちろん、この時点で身体
の変調を感じてはいた。しかし、ただ病気かなにかで力が出にくくなっているのだと思っ
たのだ。だから、繰り返し起きようと試みた。
 なん回めかのその試みで、たまたま頭をひょいともたげたときに、自身の腹が見えた。
磨かれた玉(ぎょく)を多数並べたような硬質の体節でそれは構成されていた。頭を枕
に戻して考えた。
 おれはグレゴール・ザムザ。人間である。服地の販売で生計を立てている。昨夜は自
分のベッドで寝た。ここはそのベッドらしい。しかし、目覚めてからのことを考えると、
おれは巨大な南京虫になってしまっているらしい。だが、そんなことはあるはずがない、
と。


25 名前: 小林聡美<文体で当てるのは無理なひと 投稿日: 2000/08/07(月) 20:25
 どうにも夢見が悪くって、ヘチャムチャのヨレヨレという気分で目覚めた私であった。
 それにしてもどうにも腑に落ちなかった。さっきからなんとか仰向けの状態から起き
上がろうとしていたのだったが、起き上がれないのだ。
 見かけによらず虚弱体質の私だが、いままでこんなへんてこに身体を起こせないこと
はなかった。はじめ、どうにか起きあがろうとして、失敗したのに気付いた私はひどく
疲れているからだと思った。
 しかしどうやらそうではないらしい。
 たとえば、寝ているうちに神経のつながりが切れてしまって身体をうまく動かせないっ
ていうこともあるだろう。
 それとも違うらしいのだ。
 結局、貧弱な腹筋を使って、ぐわーっと上半身をを曲げて、自分の身体を見てみるこ
とにした。
 なんだか茶色の弓みたいなものをだんだんでんでんと並べて膨れたおなかと、その左
右両側ではれはれのひろひろの脚てんこもりなのだった。
 それにしてもどっひゃーとつぶやいてはみたものの、冷静に考えてみると私は本気で
驚くことに疲れていた。あまりのことに、心というかなんていうのか感情をひねくりだ
す部分が壊れてしまっていたのだった。とりあえず、ケケケケケと笑ってみることにし
た。
 ますますわからん。グレゴール・ザムザ。昨夜、食べたものが悪かったのだろうか。
 そんな疑問をまるっきり無視して、脚はひらひらわしわし空気をかき混ぜるのだった。


26 名前: 変身は憂欝 投稿日: 2000/08/07(月) 20:26
 その朝、私は目を覚ました。
 いつもなら私は午後になってから床を離れるのは、あなたもご承知であろうが、その
日は、内容は覚えていないが、不安な夢を見たので目を覚ましてしまったのだ。そして
ベッドの上で仰向けになっている私を発見した。
 上記のように書くと、私がベッドの上以外で目を覚ますことがあるようだが、実際の
ところ、目を覚ましたときにはその上に乗って寝たはずの可愛らしいひとが、いやこん
な話はどうでもいい。とにかく、この話のあとのほうでは、ベッドに上がることはおろ
か人の上に上がることもなかなか困難になったから、あながち間違いではあるまい。も
ちろん穴を違えるのは間違いではある。
 それから、説明しなくてはならないと思うので説明するのだが、仰向けで目を覚ます
のもそう珍しいことではない。ただ「いつものように」と形容することは、いかに拙い
文章の書き手であるところの私でもニノアシといわずいっぱいある脚で踏まざるを得な
かったのである。というのも、私は脚がたくさん、し、ご、ろく、なな、なんとも数え
たくないくらいいっぱいある巨大な毒虫になっていたのである。
 と、あっさりほたてさざえあまぐり(*1)しじみ書いてしまったが、どうにも起き
上がれないので、身体をいろいろ動かしてみた。そのうち、首を、胸を、背中を、蟲の
身体についてはよく知らないのでその辺りを腹にむかって曲げたときに、自分の腹らし
きものが見えた。アコーディオンの蛇腹のようなそれを見つけたとき、さすがに私も胸
がむかっとした。そして、自分がアコーディオンでもバンドネオンでもカメラでもなく、
それらの楽器(もちろんカメラのだす音は短調ではある)のキーすべてをいちどに押さ
えられるくらいたくさんの脚を持つ蟲になっているのに気付いたのだった。
 ドットーレ・コグレは食べてすぐ寝ると牛になると日本の有名な医者スギタゲンパク
だかキタザトシゲルだかキタモリオだかケーシータカミネだかモリオーガイだかバイガ
イだかソンナノロンガイだかの格言としてあると昔教えてくれたが(*2)、飲んで寝
たトスカーナ人が蟲になったことは聞いたことがない。とりあえず、ドットーレもドッ
トーレである以上、ドーレ口を開けてごらん、などとやってくれるのではないかと思っ
てドットーレに電話をかけようと思ったが、ベッドから起き上がれないのだった。
*1 amaguri フェデリコが受けを狙ったものか、打ち込みミスか、わからない。
*2 教えたことはないが、ケーシー高峰はそう言ったことがある。


27 名前: 津本陽 投稿日: 2000/08/07(月) 20:29
 グレゴール・ザムザはチェコはプラハのしがない服地販売員である。両親と妹ととも
に暮らしていた。
 ある朝、不安な夢から彼は目覚めた。その夢の内容は覚えていなかった。
 彼は自身が巨大な毒虫であることをそのベッドの上で知ったが、それはどのようにし
てであったか。
 もちろん、目覚めたとき、自身の身体の様子が平生と異なっていることは意識してい
た。しかし、そのようにはっきり異質といえる変化が自身に起こったとは考えていなかっ
たようである。それは肉体の変化とともに感覚も変質したからである。
 とにかく、変身に気付いていなかった彼は平生と同様にして起床しようとした。しか
し、起き上がれない。特にその理由を分析しようという考えもなく、彼は身体を動かし
て、再度起き上がろうと試みる。それに失敗すると三たび試みる。
 そのうち、身体を腹にむかって曲げたとき、偶然自身の腹が目に入った。硬質に光る
弓形の分け目の入った褐色の体節である。彼はそのときはじめて変身という可能性を認
識したのである。


28 名前: 塩野七生 投稿日: 2000/08/07(月) 20:30
 服地販売人グレゴール・ザムザが巨大な毒虫になったのは、これといって変わったと
ころのない朝だった。
 その日、普段とほぼ同じ時刻に、彼は目覚めた。そのとき、彼は違和感を感じた。し
かし、直前まで見ていた夢が、内容は覚えていないものの、重い不安感をもたらしたも
のだったのと、自身のベッドで目覚めたことには、間違いないことから、寝起きの感覚
などあてにならないものとして捨てたのだった。
 そして、彼はいつものように起床しようとした。しかし、起き上がれなかった。どう
いうわけか、仰向けになった彼の身体は、体重に力負けして、ベッドの中央に揺れ戻っ
てしまうのである。その起床の試みを幾度か繰り返しているうちに、偶然、ぐっと頭を
起こした彼の視界にその腹が見えた。堅い弓状で褐色の体節が並んでいたのである。


29 名前: ロス・H・スペンサー 投稿日: 2000/08/07(月) 20:34
       ベッドで見る、脚がいっぱいある毒虫なんざ、そう珍しくもない。
      特にしらふの度合いが高い朝はな。
                       −−−モンロー・D・アンダーウッド

 おれは今朝、おれのベッドで目を覚ました。
 おれは両親の家で父母や妹と暮らしていた。
 今でも、だが。
 今朝は、その具体的な内容は覚えていないが、夢見がよくなかった。
 それでベッドの上で仰向けのおれは理由もなく不安な心持ちだった。
 そのときは。
 そのうちに、ベッドからうまく起き上がれないのにおれは気付いた。
 おれは自分のへその上に巨大な灰皿が乗っているのじゃないかと思った。
 それで、へそを見た。
 褐色の弓を並べたようなふくれた節が見えた。おれは毒虫になっていたのだ。
 おれは肩をすくめた。
 つもりしかできなかったが。
 これだけ脚がいっぱいあれば、酔っ払ったとき、ひとりで分列行進ができるだろう。


30 名前: 尋常小学教科書 投稿日: 2000/08/07(月) 20:35
彼夢ヲ観ルニ酷ク不安ヲ覚エタリ朝目覚ムニ己カ寝床ニ在レトモ其ノ身体巨大ナル毒虫ニ
変スヲ見ツケ得タリ其ノ形円ク堅キ背甲ヲ持チ背ヲ下ニ在リキ彼其ノ心一ツニテ寝台ヨリ
出スルヲ望ムトモ能ハス以テ自ラノ腹ヲ観スニ褐色ノ弓ヲ多数並フカ如ク膨レタ体節ヲ認
ムニ止マリタリ


31 名前: 梶井基次郎 投稿日: 2000/08/07(月) 20:36
 朝、起きると、俺は巨大な毒虫になつていた!
 どうして、ただの服地の販売員の俺、グレゴオル・ザムザが、普通に俺の小つぽけな部
屋で寝て、−−奇妙に落ち着かない夢を見たとはいえ−−目覚めると、蟲になつているの
か。とてもぢやないが信じたくないぢやないか。俺はこんなことが他ならぬ俺の身体に起
きるなんて信じなかつた。
 仰向けのままベツドから俺はどうしても起き上がれなかつた。起きようともがくうち
に、俺の目に映つたのは、茶色の弓を並べたような堅そうな段になつて膨れた節、節、
節、の俺の腹だつた。その腹が俺の動きに合はせて起伏を変へてゐる!


32 名前: 三浦しをん 投稿日: 2000/08/07(月) 21:44
ある朝、不安な夢からふと覚めてみると、自分のからだが何やら変だ。
背中が昭和新山のようにせり出しているし、お腹なんてひび割れた
地殻変動だ。どうやら私の皮下活動は活発な周期を迎えている模様。
もっと生命力に溢れていたころならまだしも、なぜ今なのか。新陳代謝
の激しい年頃は遠い昔。お肌の曲がり角も通り過ぎて、下り坂を転がり
落ちるさまはローリング・ストーンかおむすびころりんの如し。
死火山だと思ってたものが休火山だっただけで、突然爆発しちゃって
あらびっくり。裏切られたわー、と思いつつ溶岩に飲み込まれていく
俺の肌。お肌の手入れにいくら気を付けていたって、肌に何が起こるか
わからないのだ。やけのやんぱちになって、昼にカップラーメンを二個
(大盛&ワンタンとか)も爆食する。ぼかぁやっぱりカップラーメンが好き
だあ(若大将風にすがすがしく)。




33 名前: 清少納言 投稿日: 2000/08/08(火) 05:22
ザムザはあけぼの。やうやう不安になり行く夢ぎは、薄く目あきて、
節くれ立ちたる四肢の細くたなびきたる。目には甲殻。背中の方は
さらなり。仰向きてなほ、頭もたげたるほどに見ゆる腹部、褐色げ
にして、いとすさまじ。まいて関節の四つ三つ、二つ三つなど、禍々
しく幾重にも連ねたること、返す返すもすさまじけれ。また、参り
果てて、さらでもいと寒きに、腹に掛けたる布団の止めどなく落ち
急ぐ様こそ、あはれといふも愚かなり。


34 名前: 名無しさん 投稿日: 2000/08/08(火) 18:20
>33
春はザムザ、じゃないんだ(笑)


35 名前: 金正日を賛美する北朝鮮自己陶酔文体 投稿日: 2000/08/08(火) 20:21
革命の聖山白頭の天空高く、漆黒の闇に浮かぶ眩い希望の星が、

我々の無限の栄光を高らかに謳歌する夢を見られた、我が民族の

偉大なる指導者キム・ジョンイル同志が爽やかに目覚められると、

独創的革命理論、不滅の主体思想、高邁なる共産主義的徳性、
天才的軍事戦略、芸術的な縮地法、慈愛あふるるマルクス・レーニン主義、

という六大機能をもつ六本足の百戦百勝の甲鉄将軍に変身されておられ、

革命と建設の英雄誕生と森羅万象が祝福する中で、突如赤い陽光が

燦然と輝き、米帝打倒の革命の炎が全山河を覆った歴史的な

その朝、朝鮮の未来を明るく照らす旭日が力強く昇っていった。




36 名前: さし絵つき 投稿日: 2000/08/08(火) 20:22

          /~~⌒~⌒~⌒~ヾ
         /            )   ♪
        (   /~⌒⌒⌒ヽ )
         (  ξ    、  , |ノ     _______
          (6ξ--―●-●|    /
          > 、   ) ‥ )   < 米帝打倒!!
          //\ヽ_ _ ー=_ノ     \_______
        / / ∧ .彡Ξミ/\
       / ,し\ 彡Ξミ/へ|
       |  | /\ 彡Ξミ,へ,,(ノ     ♪
       λ (ノ√  彡ミ,/へ|
        ヽ./ 人__ミミ__ヘ 〉(ノ
          (/ ̄  ̄ (/


37 名前: 名無しさん 投稿日: 2000/08/08(火) 21:04
>36

ナイスですっ



38 名前: 名無しさん@1周年 投稿日: 2000/08/08(火) 21:58
よく種が尽きないね、、、
でも読んでしまう俺。


39 名前: 33 投稿日: 2000/08/08(火) 22:05
>>34
「春はザムザ」
んー、こっちの方がよりナンセンスだったかも。
もっと壊れた感じを目指してたんだけど、案外こぢんまりしちゃったな。



40 名前: やる気大学 投稿日: 2000/08/09(水) 01:18
「今のは全然無視していただいて結構ですから、グレ
ゴール・ザムザさんの理想の女性を思い浮かべながら、
セクシーボイスで、お願いします」
「セクシーボイスですか(笑)。できるかなあ(笑)。
いいですか。いきます。あ、んっ。(エコーかかる)
う〜ん、ザムザ、今朝もま〜たまた、デカい、毒虫に
なっちゃったものなあ〜」
「すいませんねえ〜(笑)」



41 名前: ライダー 投稿日: 2000/08/09(水) 13:27
第12話:怪奇!毒虫男

(住宅街の平凡な家、昼下がり)
「ピンポーン」
主婦「あら、誰かしら」
セールスマン「ちわー、服地の訪問販売にやってまいりました。」
主婦「はーい、いまいきまーす。」
主婦、玄関に
主婦「あら、きれいねー。買っちゃおうかしら」
主婦、服地を眺める。
その間にセールスマン、煙につつまれる。
効果音と共に毒虫男出現
「ザアームザーー」
主婦「きゃー!」
毒虫男、腹から毒液を発射。主婦、倒れる。
毒虫男「ザアームザアー。人間を不条理にしてしまうこの毒液で
日本人を全員キ(ピー)にしてしまうのだ。」

しばらく後、肩にバットをかついだ子供が帰ってくる。
子供「ただいまー!」
主婦、目の下に黒いクマ、鋭い眼光「おかえり、おやつが出来てるわよ」
といってミミズの入った皿を出す。
子供「ぎゃー!助けてー!」

子供、立花藤兵衛の店にかけこむ。
子供「大変だ!ママが!ママが変なんだ!」
滝「ショッカーの仕業か!」


ショッカー秘密アジト
(納屋悟郎の声)「よくやった、毒虫男よ。この日本人全員キ(ピー)
作戦で日本中を恐怖のルツボにおとしいれるのだ!」


つづき誰かおねがい

オマケ
名前:毒虫男
出身:ドイツ
とくちょう:背中はこう鉄よりもかたい。腹から人間を不条理にしてしまう毒液をだす。
じゃくてん:リンゴに弱い




42 名前: MtG(実は5版あたりまでしか知らない) 投稿日: 2000/08/09(水) 16:31
ザムザ       青黒1

レジェンドの召喚  1/1

ザムザはあなたのアンタップフェイズにアンタップされない。
アンタップ状態のザムザは−1/+2の修正を受けるとともに
毒虫として扱われる。
リンゴの対象になった場合、毒虫は埋葬される。

−−不吉な夢から目覚めてはいけない−−プラハの服地販売員



43 名前: 42 投稿日: 2000/08/09(水) 17:53
自己レス。
「アンタップ状態」じゃないな。「タップ状態のザムザ」だ。恥。



44 名前: 男塾 投稿日: 2000/08/10(木) 04:20
富樫・虎丸
「げえ〜〜〜〜っなんじゃああれはーーっ
 毒虫と化した奴の体がまるでダンゴムシのように丸まって
 雷電の上にのしかかって回転してやがるーーーーっっ!!!」

卍丸
「むぅ・・・こ これは奥義圧殺挫無座・・・!!
 ま まさかこの奥義を使える者が現代にいようとは・・・」

〜奥義・圧殺挫無座〜
中国拳法には猛獣の姿を模して戦う戦闘術が多々あるがその中でもこれは毒虫の
姿を借りたものでありその異様さとその恐ろしさで知られている。
かつて清朝中国において高名なる武人・呉轟龍挫無座(ぐれごおるざむざ)は
修行を重ねることにより甲殻状の鎧をまとい毒虫の姿を模した戦法を編み出した。
中でも相手に毒を吐きかけて身動きの自由を奪い、甲殻の鎧で丸まって体当たりを
行う奥義「圧殺挫無座」を得意とし、この技を使ってとどめを刺すことを好んだと
いわれる。この「圧殺挫無座」がひとたび放たれれば絶対に逃れることは出来ない
と言われており、相手の息の根を止めて彼岸へ送るまで技が終わることはないこと
から人々はこの技を称して
「圧殺挫無座も彼岸まで」
と例えたというが、これが日本に間違った形で伝わり気候の移り変わりを表現する
「あつささむさも彼岸まで」という言葉となったことはいうまでもない。

(民明書房館・『吃驚!世界の毒々拳法』より抜粋)

富樫・虎丸
「あわわわわ・・・どうすればいいんだこのままじゃ毒で動けないまま
 雷電はペシャンコに潰されちまうぞ〜〜〜雷電ーーーーーっっ!!!!」


45 名前: ゲーム帝国 投稿日: 2000/08/10(木) 04:28
Q.やっぱり帝国でも朝起きると毒虫ですか。

A.そのような程度では全然あまく帝国の場合国民は朝起きたら全員毒そのもの!
  そして拙者などはその毒を全部飲んでしまうほどの毒マニアであり
  我が偉大なる総督に至っては自らひり出した毒を自分で飲んでは
  またひり出して飲むという程の毒スカトロマニアであり単なる自殺志願者。

ところでゲーム帝国ネタはすでにがいしゅつであるというのは本当ですか?
と例によってまた拙者のほうが質問者でありスマヌとす。


46 名前: >42 投稿日: 2000/08/10(木) 09:53
このカードのイラストは是非Mark Tedinに描いて欲しいですね〜


47 名前: 寺山修司に挑戦 投稿日: 2000/08/10(木) 17:20
変身病

蟲に変わる病ありといふ。
ある男、不安な夢から目覚めてみると一匹の毒蟲に変わりていたり。
妹嘆けども癒えず。母親は彼を激しく厭えり。
大鳥のごとく羽ばたかんとすれども空を飛ぶ事かなわず。
終に林檎の実に打たれて死すと言ふ。

グレゴオル=ザムザの墓や恐山
   変身地獄のいもうとと蟲


48 名前: 営業マン 投稿日: 2000/08/10(木) 21:39
>40
ははは(笑)おれ、午後は自動車営業だから、これ、よく特徴つかんでて
いいね


49 名前: >45 投稿日: 2000/08/11(金) 11:52
ゲーム帝国はもうでているみたいっす。過去ログだと
http://jove.prohosting.com/~oliinkai/bt4.shtml#442




50 名前: 名無しさん@1周年 投稿日: 2000/08/12(土) 04:26
500渋松の特に前半部分と1009ポンちゃん、笑った。
中野翠、伊集院静をリクエスト。



51 名前: 名無しさん 投稿日: 2000/08/12(土) 10:37
紫の上きぼーん


52 名前: 松平龍樹 投稿日: 2000/08/12(土) 15:01
(うっ、ううう〜〜〜んん……ッ!)
 ある朝、グレゴール・ザムザはベッドの中で目を覚ました。
(何だか不安な〈モヤモヤした〉夢だったな……)
 気がつくと、彼〈ザムザ〉は自分の肉体〈カラダ〉がとてつもなく大きな毒虫になっていた。背中は天使の輪〈エンジェル・リング〉を持った、光沢に満ちた甲殻だ。
(うわァァァァァ〜〜〜〜ッッ! あヒぃ〜〜〜〜〜〜〜ッッ!!)
 吃驚〈びっくり〉して、体勢を入れ替え〈仰向けになり〉ちょっと頭を持ち上げて見る。
 ぽこ、ぽこぽこッ、ぽこぽこぽこッ。
 腹部〈おナカ〉のあたりは、まるくて、ふくらんでて、褐色で、弓形の固い節で分け目が入って〈段々になって〉いた。




53 名前: 名無しさん@1周年 投稿日: 2000/08/14(月) 16:06
君たちの誰かが芥川賞を貰う日が来る。
楽しみにしてるよ。感心してロムってる。凄いよ。


54 名前: 名無しさん@1周年 投稿日: 2000/08/15(火) 22:18
ageちまえ


55 名前:名無しさん@そうだ選挙にいこう投稿日:2000/08/16(水) 23:21
最近、新作ないですね

56 名前:平井和正<犬養道子邂逅前投稿日:2000/08/17(木) 07:58
 彼は巨大な毒虫だった。その名はグレゴール・ザムザといった。たとえ虫であっても、
かつてはヒトであったのだ。名前で呼ばないわけにはゆくまい。
 するりとした曲面からなる硬質の背の甲殻。多数の体節からなるものの滑らかな稜線
を描く背から尾。刻み込んだような腹節。身体の左右両側に配された、意志に従わない、
多数の脚。そして、思考も感情も表出しない堅く乾いた眼球を持っていた。
 もとより彼はそんな体を持って生まれついたわけではない。グレゴールはぱっとしな
い単なる独り者の服地のセールスマンであり、両親や妹と暮らしていた。そういう意味
ではほかの若い人々となんら際立った違いをもたなかった。
 運命の誤謬。もしくは気紛れ。それが彼を堅いキチン質の甲殻をまとった巨大な毒虫
に変えた。暗褐色の怪物に変えたのだ。
 その朝はとくにどうということもない朝のはずだった。グレゴールは小市民なりの悩
みはあったものの、目覚めるほどの悪夢を観るような想いを持ってはいなかった。しか
し、その朝彼は、夢の重い不安感ゆえに目覚めてしまった。そして、身体を起こそうと
して自身の腹が目に入ったところで、既にぼんやりと意識をつついていた違和感は爆発
したのだった。
 彼が夢から目覚めてから、かえって不安と苦悩は肥大していた。あまりに普段と知覚
が異質なのだ。光、音、触覚。それらは彼の理解をまったく越えた新しい切り口を持っ
て、脳裏になだれ込んだ。その違和感に精神は、戸惑うばかりだった。自身の見たもの
が腹節であることを知ったとき、まるで水に溺れたように、瞬間瞬間の驚愕と焦燥と恐
怖の間を巡るようになってしまった。人間の知覚と蟲の身体の知覚とが、一部共有し一
部相反していたために、総体としてはほとんど意味を見いだすことができなかったのだ。
 しばらくすると、グレゴールは新しい身体に適応した。感覚を自動的に取捨選択でき
るようになった。そして、彼はふしぎなほど意識が明瞭になり、いま現在の彼の部屋、
彼自身の身体について、カットされたボヘミアングラスのように硬質に磨ぎ澄まされエッ
ジの効いた認識を得た。
 直後、黒い衝撃をともなった理解とそれに対する驚愕が彼の意識を貫いた。激情が彼
の感情を、体躯を震わせた

57 名前:ヒトーパデーシャ翻訳調投稿日:2000/08/17(木) 08:06
 ラベ河の合わさるところの上手、ブルタバ河の畔にプラハの街はあります。その街で
は様々な産業が盛んです。たくさんの職業とそれに携わる人々が住んでいます。さてあ
る朝、夜が明けて白い雪をかぶったような下弦の月が低い空に昇っている頃、グレゴー
ル・ザムザという服地の販売人が目を覚ましました。そして、どうにも不安な気持ちが
残るような夢を見ていたのを思い出したのです。その男はベッドの上で仰向けのまま考
えました。
 「今日はどうして朝から不安な心持ちで目覚めたのだろうか。なにか悪いことの前兆
だとしても、覚えていない夢では解らない」
このように考えると、グレゴールは起き上がろうとしたのです。なんとなれば、
起き上がるごと、災いの
近くにありと思えども
ただ夢見によりて日常を
踏み外すことこそ愚かなり、

と言われるからです。のみならず、凡そ、勤め人とは次のようなものだからです。
単なる勤め人の平日は
毎日毎日額に汗して
働くことよりほかになし
働かざれば職はなくなる

 さて、起き上がろうとしたところ、ちっとも起き上がれないのにその男は気付きまし
た。何回か試してみましたが、だめでした。まるで亀が仰向けになったようです。固い
丸い背中でぐらぐらするばかりでした。これはおかしいと思ってひょいと頭を上げて自
分の腹を見ました。すると、褐色の艶々した弓を並べたような膨らんだ体節が目に入り
ました。どうやら、巨大な毒虫になってしまったようです。いくら何でもそんなことは
あるまいとその男は思いました。なんとなれば
後天的ハイブリットを作り出す
ショッカーやゲルゲは
極東の地、日本に現われども
半世紀は後になる

と言うことからです。そりゃまた一体なんです。とその男は考えましたから、筆者は次
のように説明せざるをえないのでした。
 もちろんベリャアエフの鮫人間やウェルズのDr.モロウのオペレイター達も後天的
ハイブリットだが節足動物との後天的ハイブリットが人間の意識を持つ(以下略)

58 名前:ねこぢる投稿日:2000/08/17(木) 08:10
 こわくて確認できないが、つかまるとキケンなものに追いかけられている。つかまり
そうになったとき、目がさめた。白いシーツのベッドの上であおむけになってねている。
カブトムシみたいなにおいがした。かけぶとんがなくてはだかだったけど、グレゴール・
ザムザという男になっていたし虫になっていたから恥ずかしくないと思った。背中が丸
くてちょっと動くとぐらぐらした。ベッドは幅がせまくて高いからころげ落ちたら痛そ
うだから、ころげ落ちないようにぐらぐらさせないように体を固くした。
でも虫はいやだったから、やすお君に相談しようとして起き上がろうと、頭をあげたら
ごきぶりの茶色の腹みたいな節の入ったおなかが見えた。     おわり。

59 名前:岡本かの子投稿日:2000/08/17(木) 08:12
 ある朝、グレゴール・ザムザは、夢を見た。それは重くろしく、汚らわしく、厭わし
く、わずらわしかった。その一方、勤め人のかれは覚醒を感じ始めて居た。カーテンで
暗い部屋のベッドの上に広がるシーツのほの白さは大理石の台のように冷たくかすかに
光り、悪夢に由来の匂う寝汗を含んで目覚めたグレゴールを待って居た。
 グレゴールが起き上がるために体を捻るとベッドのスプリングがきしきし鳴った。起
き上がれないのを知ったグレゴールがその手足を意識すると、不気味な、こそばゆい感
じがかれの感覚に立ち騰って来る。両肩や腰から下が意味もなく竦むのを自分で叱って
グレゴールが再度起き上がろうと動くと、ベッドがしねしねと動きを吸収するのを感じ
た。マットが背中に糊づいたように感じられ、それが剥がれない。強いて剥がそうと更
に二三度体を動かすと、マット全体がゆらんゆらんと水平動と上下動の入り混じった妙
な揺れ方でグレゴールの体を翻弄し始めた。俄にグレゴールは人間にはありえない自身
の背中の丸さと背中から腰の固さを感じた。グレゴールはまず不安を感じ動くのを止め
た。そんな不安にも徐々に馴れて来る。一分、二分、グレゴールはまったく馴れて来た。
ひそやかな噎ぶような激情が静まって、呑気な心持ちがやって来るとグレゴールにも意
地が涌いた。どうせ体を確認するよりほか道はないではないか。グレゴールは口に力を
こめて頭を強いて擡げ上げて自分の腹を見た。褐色の弓形に艶々と丸く膨れた固そうな
節が連なっているのが見えた。グレゴールは息を喘がして頭を落とした。たくさんの体
節とその左右両側に細い脚を持つ丸く肥えて大きな毒虫になっていたのだった。

60 名前:佐藤春夫投稿日:2000/08/17(木) 08:13
 グレゴール・ザムザは二十余年の生涯にそれほどの驚愕を覚へたことはなかつた。別
に普段と変はつた事をしたわけではない。ただ朝目覚めると巨大な毒虫になつてゐたの
である。こころ当たりといへば目覚める直前に見た夢が、内容を忘れてしまつたといふ
せいもあるのか、正体の知れない不愉快さを伴ふものだつたためかもしれない。尤もた
かが気味の悪い夢を見る程度で人が毒虫になるであらうか。さう疑はしく思はなかつた
わけではない。
 その朝彼は目が覚めてから自身がそのベツドの上で仰向にあるのを知つた。彼は先程
まで見てゐた夢のもたらした不安が消えないのを訝しく思つた。ともあれ普段のとほり
起き上がらうとしたが、起き上がれなかつた。背中を下に起き上がり小法師のやうにぐ
らぐらするばかりなのだつた。あとになつて思ひ当つたのだが、背中が丸く固くなつて
ゐたためだつた。然しその時彼は手足がその行為に協力してゐないのを不思議に思ひ、
なんともいやな心持が刻々に迫るのを感じた。気を奮つて頭をチヨイトもたげて見ると
自身の腹があるべき所に艶のある茶色で弓形に膨れた腹節が多数並んでゐるのが見えた。

61 名前:吉田健一投稿日:2000/08/17(木) 08:15
 ある朝のことグレゴール・ザムザは不安な夢を見ていてそれから目覚め違和感を感じ
たのだつた。その違和感がどこから来るものか彼は解らなかつた。どうやら身体の調子
がおかしいらしいとは思つたものの、例へばまだ夢を見ていて目覚めてゐなかつたとい
ふことになればどうだらうかといふことも考へた。併し身体の感覚がどうにもあやふや
なところがあつた。そのやうに寧ろ夢であると考へるのが当を得た感じがした。
 然し彼は勤め人であるから目覚めなければならない。兎に角起き上がろうと頭をもた
げたときに見えた褐色で固い艶のある弓形の分け目を入れたやうな節のある膨れた腹が
直ぐには自分のものとは思へなかつた。然し暫くするとどういふ具合にか彼にも解つて
来た。さうして気が付いたのが自身がとてつもなく大きな毒虫になつているということ
だった。

62 名前:59, 61訂正投稿日:2000/08/17(木) 08:34
59ラスト−誤:いたのだった。>正:居たのだった。
61ラスト−誤:になつているということだった。>正:になつてゐるといふことだつた。

63 名前:名無しさん@1周年投稿日:2000/08/18(金) 17:48
age

64 名前:模写?投稿日:2000/08/18(金) 21:25
●みなさん今晩は、苦いたわごとの時間がやってまいりました。今夜は[馬鹿な]文芸評論家のかたがたにお集まりいただき、文体模写のヘンシーンを考えると題しまして、おはなしをお伺いいたします。みなさんよろしくお願いいたします。
一同:よろしくおねがいします。
■どうも。ええと、んじゃあ、まず僕からいきます。まあ、ぼっ、んん。僕の場合はね。ハードコピーに降ろしてから読んでんだけど。今の文体模写はさ。なんてえの、こう、いいものもある。だけどわるいものもあるよね。
◆いやいやいや僕の場合はね、ちょっと君とは違うんだけどね。あのトウコーシャの友達がロスとかニューヨークにいるんだけどねえ。いつも変な話送ってくれるんだけど。よく読むとまあ、いいものもある。悪いものもある。
★あの、ちょっちょっといい?僕はやっぱり目が覚めたら一番はじめに気付いたのが
■でもね、僕なんか、なんていうの。トランスファーに本を読む機会がすごい多いわけ、ね。こないだもロンドン、ニューヨーク回ってきたんですよね。そこでいちばん感じたのはですねえ。いいものもあるけど、悪いものもあるというのをいちばん感じたなあ。
◆いえ、君とはちょっと違うんだよね。僕はドイツ語がわかるでしょ。だから向こうの原書なんか覚えてないくらい何度も読んてね。断っておくけど。まあ、だけどよく読むといいものもある。んー。悪いものもあるっていう。
★でねえ。やっぱり僕はベッドで仰向けで
■そうじゃなくてさ。君の言いかたちょっとおかしいよ。そうじゃなくてさあ、僕なんかわあ、ま、一日にね。一日に八時間テキスト・ネット繋ぎまくって生活してるわけですよ。そうすると、すごいよく解るのは、んー、いいものもある。だけど悪いものもあるって感じだなあ。
◆違うよ。僕なんか全然時間の問題じゃないと思うんだよね。僕はダウンロード五万ファイルだよ。五万持ってるんだよ。それもテキストのファイルばっかりよ。そいで、よく読むと。いいものもある。悪いものもあるんだよ。
★ちょっといわせてもらうとね。僕はなんか起き上がれなくてね。背中がね。
■あのちょっと君違うよ。だってね。ディスケットの枚数なんかで言ったら<フロッピーディスクね><ふふん>僕なんか八万枚ありますよ、テキスト。それをさあ、全部読みまくってて感じんのは、はっきり言っていいものもある。だけど悪いものもある。
◆んふっ、僕なんかね。君とちょっと違うんだけどね。携帯電話でインターネットしたりとかね。<モバイるとか言おうよ、せめて><っせえな>ちゃーんと文体模写の話して読むとですね。いいものもある。悪いものもあるんだよね。
★いいですか。えーとね、あのー、僕はね。絶対おかしいと思ってね。
■なんか違う。全然違う。全然話違うよ。いーい? 変身を理解するためにはさ。ファッションと切り離せないと思うわけですよ。<なるほどね、気になって>ねえ、聞いてる? ねえ。僕はほらいま、毒虫スーツ着てますよね。褐色の。ほら。ま、これは別に大したことじゃないですよね。<そうかあ?>毒虫スーツ十着ぐらい持ってますよ。<ほほお>だから、そうゆうふうに、生活に変身を取り入れることからね、文体模写を考えると、いいものもある。だけど悪いものもあるといいきれると思うわけよ。
◆ちょっと待ってよ。きみとはちょっと違うんだけどね。文学ネタなんかオフミするとね。全部僕がすき焼きとかてんぷらシャブシャブとかみんな連れてくんだよ。面倒見るんだよ。そうやってコミュニケーションしてね。で、文体模写はいいものもある。悪いものもあるんだよね。
★やっぱお腹を見たらね。腹節が見えるじゃない、とすると
■なんかおかしいんじゃないの。矛盾してるよ。まったく矛盾してるよ。僕はさあ、んんっ、ネットで掲示板を十本もってるわけです。はい。えー、今度文学評論でチャットの企画の司会もします。まあ、こうゆう世界にいてですねえ、初めて文体模写がよく解ると言い切れると思うんですよね。だからそうゆういいかたからしてもね。いいものもある。だけど悪いものもあると僕は思うわけなんですよ。
◆違ーう、ちょっと、僕は君とちょっと違うんだけどね。僕なんかね。今度小説誌のプロデュースやるんだよ。しかもニューウェーブでよ。<いまどき?>そうやって実際文学を当たってみてね。いいものもある。悪いものもある。
■(深呼吸)だからさー。ニューウェーブがどうしたか知らないけどさあ。僕ね、今度みんなに頼まれてチャットで公開討論やろうかどうしようか悩んでる自分がここにいるわけ。相手は今一番の一番の、あんた一番人気とやったことある?そうゆう真剣勝負を
◆だけどね。僕はね。ネットがいくら

66 名前:名無しさん@1周年投稿日:2000/08/19(土) 04:58
ディスケットってIB◎固有の用語ですよ。

67 名前:名無しさん@1周年投稿日:2000/08/19(土) 05:41
なんか、和訳ツールにかけて説明書作ってるからわけわかんない

68 名前:名無しさん@1周年投稿日:2000/08/19(土) 06:24
擬態。
惹かれるな。
複数の自分を意識して使い分ける。
ってことは、文体模写は文豪を自分で飼うことになる!!??


69 名前:名無しさん@1周年投稿日:2000/08/19(土) 06:37
なんかいい発見が沢山ある。
これからも生産的なんだろうなぁ。

70 名前: 64さんの代わりに答えると… 投稿日: 2000/08/20(日) 00:03
>65さん
64は、スネークマン・ショウのパロディ(模写?)です。
この三人のやりとりがこの後も延々と続くという意味で、フェイドアウトしています。


71 名前: スパイ大作戦 投稿日: 2000/08/20(日) 00:27
おはようフェルプス君。
グレゴール・ザムザはプラハに住む服地販売人だ。しかし、実はその裏の顔は
とてつもなく大きな毒虫で、その毒液によってすでに多くの被害が報告されている。
このままではドイツは言うに及ばず、我が国にとっても重大な脅威となる事は
明白である。
そこで今回の君の使命だが、彼の背中にリンゴを撃ちこみ、その野望を阻止する
事にある。
例によって君もしくは君の仲間が捕らえられ、あるいは殺されても当局は一切
感知しないからそのつもりで。成功を祈る。
なお、このディスクは自動的に消滅する。



72 名前: 強殖装甲 投稿日: 2000/08/20(日) 15:25
ザムザ「グ.グギギギギ....」
深町「巻島さん、これは?!」
巻島「ああ、こいつ、どうやら自分でも知らないうちに獣化兵に調製されてしまっていたらしい...」
ギュオー「その通り、このザムザとか言う男、調製期間中の記憶は消去済みだ。
     もし、意識があるなら不条理小説の主人公にでもなった気分だろうが、
     現在はこのギュオーの思念波の支配下にある。
     ガイバーどもよ、果たしてこいつが倒せるかな?」
瀬川「クロノスめ、なんてひどい...」
深町「く...」
  (獣化兵とはいえ、この人は罪のない一般人だ。そんな人を倒すことなど...)

  ガ
 オ  (メガスマッシャー炸裂!)


ギュオー「!!」
巻島「深町はどうだか知らんが、このガイバーIIIは違う。
   獣化兵を倒すのになんのためらいもないぜ...残念だったな、ギュオー!!」


73 名前: ↑ちなみに 投稿日: 2000/08/20(日) 15:43
「グレゴール」っていうゾアノイドがちょうどいます。
虫型じゃないですけど(笑)


74 名前:名無しさん@1周年投稿日:2000/08/21(月) 11:01
>64
「増殖」でしたっけ?なつかし〜

75 名前:名無しさん@1周年投稿日:2000/08/21(月) 23:29
>64
「あ〜〜〜、にっぽんは、へいわだなぁ〜〜〜〜〜〜」


76 名前:ダーシェンカとプドレンカ・ネタ投稿日:2000/08/22(火) 20:29
 ダーシェンカ。そのサンダルを返しておくれ。おとなしく返してくれるなら、ぼくが
おはなししてあげよう。ぼくらと同じ国の人の話だよ。
 その人の名前は、グレゴール・ザムザといって若い男なんだ。服地の販売をしていた。
まあ、どこにでもいるような普通の男だったんだよ。ある朝、目が覚めたら、でっかい
毒虫になっていたんだ。変だよね。なんでかって?夢見が悪かったのかもしれないねえ。
とにかく、その男は仰向けで目が覚めた。ダーシェンカ。いまきみがやってるみたいに
ばたばたしたけど、起き上がれなかったから、ひょいと体を見たら、たくさんの節の入っ
た茶色いおなかが見えたから、蟲になっているっていうのが、おいダーシャ、待ちなさ
い!ダーシャ!

     *         *         *

 毒虫についてのこのお話(まさに現代社会同様、辻褄のあわないお話)の最初にはひ
とりの男、しかも、ごくフツーの若い独身男が登場する。凶事には、みなどこか贈り物
めいたところがある。そんな贈り物は、別世界から落ちてきたようで、余分なものを供
なって、わたしたちの思惑を無視してわたしたちの生活に押し入ってくる。とりわけそ
れが、背中に丸く固い甲殻、お腹に褐色のたくさんの節をつけた毒虫の身体ならなおさ
らだ。その男は、その地味で落ち着いた気性を表しているわけではないから取り立てて
示す必要もないが、グレゴール・ザムザという名前だった。

77 名前:ザムザブロウ2000投稿日:2000/08/22(火) 22:18
「毒虫! 毒虫!」
群衆の激しい叫び声はブルタバ河畔の狭い路地の壁から壁へと跳ね返り、灰白の石畳を
打つ鋼の履帯の重い軋みが、その喚声にいがいがした輪郭を着けていた。
「毒虫! 毒虫!」
 ノースウェスト・スミスはその群衆が近付いてくるのに気付くと、手近な戸口に退り、
熱戦銃のグリップに手を掛けて、鋼色の双眸を細めた。
 テラフォーミング後の新興地球植民露天都市ニュープラーグではこの手の騒ぎは当た
り前だった。このまだまだ発展の余地のある露天都市ではどんなことでも起こり得たし、
実際起こってもいた。
 やがて、路上を平べったい茶色のものがひらめき、ポケットに突入する的玉のように
狭い通りのくぼみからくぼみを縫って走るのが見えた。それは一匹の巨大な毒虫だった。
褐色で固く丸い甲殻を持ち、身体の両側の多数の脚で走ってきた。その虫はノースウェ
ストの前でよろめくと、彼の立つ戸口に滑りこんできた。
 それを追ってきたのは、雑多な群衆で、先頭の男は階級章を引き千切られた星間パト
ロールのジャケットを着ていた。毒虫とその傍らのノースウェストを見てその男は一瞬
唖然としたが、すぐ「毒虫!」と喚くと突進してきた。背後の群衆も「毒虫! 毒虫!」
と声を上げた。
 ノースウェストは熱戦銃で路面に弧を描くと、それに押し返された群衆がやや静かに
なるのを待って言った。
「これは俺の虫だ。さがれ!」
 それが聞こえた群衆の先頭は退がった。彼らの顔には当惑が表れていた。元宇宙パト
ロールは言った。
「あんたの? あんたのものと言ったか?」その声は恐怖と疑惑と嫌悪の混合物だった。
ノースウェストが肯定すると「こいつのだと! 勝手にしろ! 二度と外に出すな!」
と怒鳴ると群衆とともに去っていった。ノースウェストはもっともめるかと思っていた
ので呆気にとられた。群衆は三々五々彼に侮蔑の視線を与えては帰ってしまったのだ。
「モウ コワクナイ」毒虫はおずおず言った。
「彼らはどうしておまえを追いかけたんだ? 一体何をしたんだ? 名前はなんて言う
んだ?」
「シラナイ アサオキタラ ヘンシンシテタ ナマエハ グレゴール・ザムザ」

78 名前:森銑三投稿日:2000/08/23(水) 08:20
 或朝のことだつた。、
 グレゴオル・ザムザは、少し気味が悪い夢から、目を覚ました。仰向けのまま、何時
だらうかなと思つた。そして何やら不安な心持であることは気に懸かつたが、それは夢
見が悪かつたことを忘れかねてゐる所為ではないかと思はれた。
 その日も勤めがあるから、グレゴオルは自分のベッドから起き上がらうとした。とこ
ろが、それが果たせなかつた。改めて試みた。やはり果たせなかった。一体どうしたと
いふのであらうか。その一事は気に懸かる。何か変事があつたのではあるまいか−−。
 とかうする内に、何やら背中の丸みを中心に自分の身体がぐらぐら揺れるやうである。
さうした事を奇妙に思ひながら、なほ起き上がる試みを繰返してゐると、頭を擡げた拍
子に、自分の腹は褐色の弓を並べたやうな固さうな節からなつてゐるのが目に入つた。
その左右両側には数え切れぬほどの脚がわさわさ蠢いていた。
 グレゴオルは、ひと目見るなり驚いた。かれは、もとより一体に内気な、物静かな生
れつきだつたから、先づ、自分の感覚を疑つた。けれども、よく考えてみると目が覚め
てからの自分の感覚や身体の変化に思ひ至らずにゐられなかつた。そして身と魂とが離
れ離れになつたかの如くになつた。

79 名前:ラカイナ4269星系、惑星チャイにて投稿日:2000/08/23(水) 21:48
 ある朝、グレゴール・ザムザは、ディルディルのツァウグシュの獲物になる夢を見た。
目が覚めると自分が人間サイズのスカラト−−キスロヴァン大陸の東の沿岸に浮かぶリュ
ウム島名物調味料となる肉食の虫−−になっているのに気付いた。丸く堅い甲殻の背中、
たくさんの腹節と一節あたり一対の脚を持っていた。ただ、よく足元を素早く走るもの
は黒いのに、自分は褐色であるから、大きくなると色が薄くなるのだろうかと思った。
また、グレゴールはこのような変身について聞いた事がなかったので、プニュームのあ
やしい呪術によるものだろうかと考えるのだった。なにしろプニュームについて詳しい
ことは忘れられてしまっているのだ。

80 名前:森喜朗投稿日:2000/08/23(水) 23:21
共産党のグレゴール・ザムザくんは国賊でありまして、
八紘一宇の精神で、
未来に禍根を残さぬためにも
一族郎党連座で誅すべきかと愚考します。

81 名前:不可>80投稿日:2000/08/23(水) 23:42
「毒虫に変身」もしくはそれを類推できる表現は必須。再提出を命ず。

誰か、クワタケースケ、オールナイトニッポンの中島みゆき、モダチョキのマリちゃんやらないか?

82 名前:フィリップくん×フィリップくん×フィリップくん投稿日:2000/08/24(木) 21:52
「あのねえ、グレゴールザムザくんはねえ、不安な夢を見ていたんだけど、目が覚めた
ら家族がみんな知らんぷりするんだ。グレゴールくんは思ったねえ、どうしてみんなド
ク、ムシするんだ」
<もうひとつ、よけるやつやって>
「グレゴールくんはでっかい蟲になったもんだから、床をうろうろ這っていたんだけど、
お父さんは邪魔だって、ひっぱたいたら、グレゴールくんはすぐ避けた。グレゴールく
ん退く虫」

64: ディスケット
「■」は「ディスケット」しかない時代から、というアレなヒトというキャラクタ設定。
 それを立てるために<フロッピイ云々>をバックグランドノイズ発言として表現した
つもりが、通じなかったか。発言がどんどん進行している感じが出そうにないので、改
行せずに、いいかげんな<>くくり表現をしてみたんですが。()はルビや深呼吸のよ
うな状態表現、あるいは、文中註にしか見えないから使えないし。
 うーん。どう表現するのがよかったんですかね。ご教示ください。

83 名前:つげ義春「山椒魚」 投稿日:2000/08/25(金) 09:02
俺がどうして毒虫になったのか分からないんだ
気がついたら背中を固い甲殻に覆われた虫になっていたのさ
ではそれ以前の俺はどこでどうしていたのかというと
サッパリ思い出せないんだ
ただ遠い故郷があったような気はするのだが……
もちろん初めのうちはひどく不愉快だった
殺虫剤をかけられて俺は何度も気絶したんだ
そればかりではない
空腹のあまり得体のしれない腐肉や虫ケラを食べて
吐気と下痢を同時にやらかしたこともある
だが今ではすっかり慣れてしまって
弓形の固い節で分け目をいれられた腹をひきずって
地面をはうのに快感すら覚えているのだ
俺はいつのまにか俺ではなく
まったく別のいき物になってしまったのだ
背中なんて時たまながめると
たくましく黒光りしてじつに感じがいいんだ
そうさ俺はだれにも邪魔されず自由に
勝手気ままにしていられるのさ

84 名前:虫の来歴 投稿日:2000/08/25(金) 09:16
一寸の虫にも宇宙の全過程が刻印されている。後年グレゴール・ザムザが毒虫に変身するに至った最初のきっかけは、スイスはバーゼルの某研究室で、ひとりのポスドクから聞いた話である。
針金細工に渋紙を貼りつけた趣の顔面にあって、そればかりが敏捷に動く眼でザムザを眺めた男は、すっかり肉が削げ落ち痩せごぼうみたいになった指に傍らのゴキブリを摘んでみせると、これは種別するならチャバネゴキブリというゴキブリであると講釈を述べ、いまわれわれが眼にするのに似たゴキブリは古生代に初めて地上に姿を現わしたものである、したがってこのゴキブリも恐竜より古い種族の末裔である、と述べたあと、およそ次のような事柄を語った。
君は普段路傍の虫に気をとめることなどないだろう。蝶や玉虫ならばまた話はべつだろうが、およそハエやゴキブリなどは詰まらない、ただ意味もなくうろついているもので、邪魔にこそなればわざわざ手にとって眺めてみる価値などないと考えているのであろう。だがそれは違う。変哲のない虫けらにも生物の進化の歴史が克明に記されているのである。たとえば君はキイロショウジョウバエ、Drosophila Melanogaster 、がどうして発生するかを知っているか?卵の中で始めにギャップ遺伝子が働き、その産物は胚を大ざっぱに分割する。次にペア・ルール遺伝子が働き、セグメント・ポラリティー遺伝子が働いて体節が区切られる。胚はふ化して幼虫となり、幼虫は蛹化して蛹となる。蛹の中では劇的に体が作り直され、受精から約9日で成虫が現われる。と成虫はまた卵を産み、卵は幼虫になり蛹になり成虫になり、さらには再び卵を産んで世代を繰り返す。虫は一瞬も静止することなく変化している。素材は絶えず循環している。生物が進化しているのは君も知っているだろう。ショウジョウバエの発生に働く遺伝子とよく似た遺伝子は哺乳類も持っている。分子生物学を用いて、哺乳類の眼を作るのに働く遺伝子をショウジョウバエに入れることで、眼がたくさんあるショウジョウバエを作ることさえできる。ショウジョウバエも人間も、時間を遡れば、起源を同じくしているのだ。つまり君が何気なく眼にする一匹の虫は、およそ三十億年前、後に地球と呼ばれるようになった惑星に生命が誕生したときからはじまったドラマの一断面であり、物質の運動を刹那の形態に閉じ込めた、いわば宇宙の歴史の凝縮物なのだ。


85 名前:ヂャアマアイイカ実験作−或る人類毒虫変身に就いての一考察 投稿日:2000/08/25(金) 20:42
 人が、ふわふわと心浮き立つ未だ浅い春の、とある朝、花ほころびたる美しき春や来
たらんと、希望にまなざしを上げる、まだ肌寒い日のひねもすを、あやしげなる小売人
の群れに伍して、そこばくの利といえども争うべく、ひとりの若い男グレゴール・ザム
ザは自室のベッドの上で不安な夢から目覚めた。
 ところが、ちっとも起き上がれなかった。ぐらり、ぐらりと丸く重い背中で揺れるば
かりだった。彼は何度か努力を繰り返していたのである。ところで、しかるにその枕と
頭はいっかな距離を得ない。時計の振り子のように、大きな振幅でゆっくりと行きつ戻
りつしていた。
 ?(はて) 彼は不可解千万のことが起きていることに気付き、凝然と思案に暮れる
のであった。
 が、急にくるり、と、それはさっきまで彼が身体を起こすべく身体を曲げていたごと
く、(たぶん推測するに、彼は今は朝であるからゆっくり考えていられないと判断した
ために、ほとんど無意識に再び動きだしたのであろう)頭をもたげたところで、自分の
腹を見詰めたのであった。その動作の中途で、彼は今朝の異常の原因を提示され、それ
を認定したのである。
「あ!」
 彼は、この刹那、こう、口の中で叫ばざるを得なかったのである。
 というのはほかでもない。彼の眼前には褐色の弓形に刻みの入った、膨れた節が並ん
でいるのが見えたのであった。
 巨大な毒虫の身体!毒虫に変身!?
 ああ、何ということ!

86 名前:ビートたかし(ターザン山本) 投稿日:2000/08/25(金) 22:27
俺は不条理というものを悟ってしまった!

 天皇賞に100万円を賭けて、大ハズレした俺は家に帰って布団にもぐりこん
だんですよ!
 そして眠っているうちにものすごい悪夢にうなされたんだよね。
 朝になって目を覚ましたら俺は巨大な虫になっていたんですよ!
 体は黒くなっているし、手足はゴソゴソいって起き上がろうにも起き上がれな
いんですよ!
 カミさんも娘も逃げてしまったし、競馬で100万円をスってしまって、しか
も朝になったら虫になっていた。
 これこそが不条理なんだと、50になって発見してしまったわけなんですよ!
 競馬に負けたことによって自我の崩壊を起こして、崩壊した自我を取り戻すた
めにエネルギーを生み出すというのが俺の真理だったんですよ!
 それが虫になってしまった事により、自我を取り戻す方法を新たに見つけなけ
ればならなくなったんですね。
 ああ、これこそが不条理なんだと俺は悟ったわけです!
 これは青春の大発見なんですよ〜〜〜〜!(炎上して机をバンバン叩く)

プロレスファンの方、斎藤文彦、井上義啓で書いてください。


87 名前:糸萬ピ@お題「毒虫を愛しましょう」 投稿日:2000/08/25(金) 22:29
なんかしら、私が家元の糸井重里である。
 ところで番頭さん。
 「はい。なんでございましょうか家元。」
 今日の私はどう見えるかね。
 「さぁ。いつもより黒うございますねぇ。」
 黒くなってしまったばかりではないぞ。
 「足も増えてしまったようですなぁ。」
 それだけかい?
 「さぁ、とんと判りません。」
 冷たいなぁ、番頭さんは。「どうしてなったのでございますか?」と聞くのが番
頭さんの仕事なんじゃないのかい?
 「さぁ。私には家元の深いお考えがとんと見えませぬから。」
 さらに冷たいねぇ。ゼンソクが直りかけていて、せっかく穏やかな眠りについた
と思ったら、ヒドイ悪夢を見ちゃってさぁ、朝方になって「カサコケカキカキ」な
んて音がするから起き上がろうとしたら起き上がれなくてさぁ、体を見たら虫にな
っていたのよ。
 「どうやらおなかも節くれだっておりますなぁ。」
 そこまで気づいてくれたかい番頭さん。
 「うわっ!何か変な液体まで出ておりますよ家元。かかってしまったではありま
せんか。」
 私もはじめて見た。
 「い、いえもとぉ。な、なんか苦しゅうございます...。」
 毒かもしれない。
 「いえもとぉ。お助けください...。」
 番頭が倒れてしまったのでお稽古をはじめるとする。


88 名前:もりりんたろう 投稿日:2000/08/25(金) 23:25
 グレゴオル・ザムザが途轍もなく大きな毒虫になってしまつたのに気が附いたのは、
妙な夢から目醒めた朝であつた。厭な夢であつたとは思つたが、その内容は、翳んだ、
濁つた、不快なものであつたと云ふ極曖昧な記憶しきや呼び醒ませないのであつた。背
中が、丸く、堅い甲殻になつてゐた。其所為で起き上がり得なかつたから、ひよい
と頭を擡げると節の連なる褐色の腹が見へた。

89 名前:名無しさん@1周年 投稿日:2000/08/25(金) 23:27
初めて読んだけど、超おもしろ。

私は2ちゃんねるの「文体模写 スレッド 2」という、レスにして八十七足らずの文章が好きで、繰りかえし読んだ。
いつの頃か、グレゴールという途方もなく世に喧伝された人物の生き様を黒々と活字で埋めていく、その営為になにやら
おかしみを感じた。
ちなみに、この少しばかり洒落た思いつきを創めた人物は誰なのか、そこはかとない疑問だが、考証のしようがない。

たれ風かな?




90 名前:宣伝 投稿日:2000/08/26(土) 00:25
こっちもログ保管してみています。
http://jove.prohosting.com/~oliinkai/btx.shtml
#番号をつけると直接その記事に飛べるはずです。
http://jove.prohosting.com/~oliinkai/btx.shtml#10

前のスレッドのログはこちら
http://jove.prohosting.com/~oliinkai/bt.shtml


91 名前:松浦寿輝@芥川賞 投稿日:2000/08/26(土) 00:42

 或る朝のこと、空が白々と明け初める頃、しめやかに降り出した雨の音を
聞きながらザムザはようやくまどろみの中に落ち、やがてその浅い眠りから
引きずり出された。病院にあるような足高のシングル・ベッドの上に、大きな
毒虫に変わってしまっている自分がいた。
 半ばこの世からはみ出してしまった俺にはもう急ぎの用は何もない、
ここでいつまで雨空を仰いでいようとも誰からも文句は出ないわけだ。
そんなことに妙に新鮮な解放感を覚えている自分に気づいてザムザは
少々驚かないでもない。


92 名前:藤原伊織 投稿日:2000/08/26(土) 21:46
目が覚めると、蛍光灯のスイッチをいれ、いつものように窓から首をつきだした。
陽のささない部屋の住人が、いつのまにか見につけた習慣だ。もの悲しい天候
だった。セーターに腕を通そうとすると、手の先がセーターに引っかかる。自分の
手が蟲のそれのように細くギザギザになっていることに、はじめて気づいた。
ベッドの上で、すわりながら折るように自分の腹を見た。褐色の、弓形の固い節で
分け目をいれられた腹だった。そのとき、ラジオで若い女のアナウンサーが
明るい声をあげた。きょうもよく降っていますねえ。もう一度、窓の外を見た。そうだ。
たしかにきょうもよく降っている。


93 名前:真保裕一@ホワイトアウト 投稿日:2000/08/26(土) 22:06
 風が巻き、時折下からも雪のつぶてが顔にぶつかってくる。
突風が思い出したように押し寄せては、渦となって雪が舞い
上がる。
 波のように逆巻く雪の中から、風音とともに声が聞こえてきた。
「いたぞ。こっちだ!」
 樹氷をつけた枝を震わすカラマツの低木の下だった。固い
甲殻の背中を下にして、仰向けになっている毒虫が、半分雪に
埋もれてうずくまっていた。雪を堀り進めていくと、まるくふくらんだ
褐色の、弓形の固い節で分け目をいれられた腹部が見えた。
「なんだ。虫じゃねえか」
「俺たちが捜索しているグレゴールじゃない」

その言葉を残して吹雪の中に消えていく男たちには、その虫こそが
遭難中に変身してしまった哀れなセールスマンであることを知る
由もない。


94 名前:イッセー尾形@ひとり芝居・毒虫編 投稿日:2000/08/27(日) 10:18
朝、目覚めて大きな毒虫に変わってしまっているのに気づいたグレゴールは、
まるくふくらんだ、褐色の、弓形の固い節で分け目をいれられた
腹部を気にしながら、ふと思い出したかのように、演歌のサビの部分を口ずさ
んでいる……。
♪ゆうわくじゃ……ない。

おい、グレーテ。
グレーテ!
聞こえたら返事しろ。
グレーテ。

……シカトかよ……。
俺はな、
親父とオフクロにな。
な、
「妹の面倒をみるように」
って、ちゃんと言われてんだから。

グレーテ。
なんか言うことはねぇのか、おまえ?
俺はな、
おまえみたいな、バカじゃないんだ。
喋ってないときは、
ちゃんと考えてんだ。
ああ。だから、黙ってるときでも考えてんだよ、俺は。
今週、俺、忙しいんだぞ、おまえ。
今週は、なぁー……、夏物だすんだぞ。
いいか、冬物、洗濯屋に持って行くんだぞ。
おまえみたいに不潔じゃないんだからな、俺は。
フケツじゃねぇかよ、オメエー。
俺のワイシャツは、糊の効いたワイシャツなんだよ。
セールスマンてのは、清潔さが必須なの。ヒ、ッ、ス、ウ。
おまえ、トマトケチャップがついたの三日はいてんじゃねぇのか。
そのズボンよぉ!三日だろう。

ばかやろう。このシミはさっき付いたの!
洗濯してないからじゃないの!
おまえ、虫ってのは、カラダから勝手に汁とか出て、大変なんだぞ。
いろいろと。
オマエみたいなフケツ女には虫はつとまんねぇの!
神さまも、そこのところ、よーくわかってるから
この俺が夢から覚めると、虫なわけよ。
わかる?


95 名前:セーラームーン@ゆん 投稿日:2000/08/27(日) 21:07
あたし、グレゴール・ザムザ。14歳、厨2!性格は人よりちょっとオッチョコチョイで、
ちょっと泣き虫ってとこかな。ある朝ヘンテコな夢からさめたら、自分のカッコが
ものすごーく大きな毒虫に変わっちゃってて、もぉ不安タラタラーって感じ。でもまぁ、
何とかなるなる、アハハハハ〜


96 名前:ドクター秩父山 投稿日:2000/08/31(木) 20:41
1) 秩:おはよう! グレゴール君。今日はどうかな〜
    (秩父山、病室に入って来る。後ろにインターン・ケロタン)
2) 吉:先生! このカワイイ看護婦さんがリンゴをぶつけてくれたら思い出しました。
    (顔を赤らめる看護婦)
3) 吉:これからは吉田君と呼んでください。ハハハハハ
    (人間ムカデのヘッドとして伸び上がる吉田君)
   ケ:おお!
   看:ええっ?
4) 秩:しまったー!
   お:おええっ おええっ

97 名前:名無しさん 投稿日:2000/08/31(木) 21:14
あげ

98 名前:折口信夫<描写は字下げしない 投稿日:2000/09/01(金) 19:38
ぐれごおる・ざむざは、さつきからからだがをかしいと感じて居た。何だか、もだもだ
と手足が侭にならず、自分のからだでない様な気がするのだつた。昨夜(ユフベ)、寝
(ネ)の足らなかつた覚へもない。いつに変わらぬ朝だつた。窓に掛かるかあてんに当
たる日かげも、真っ白に澄んで見えた。
毎日々々の仕事がからだに応(コタ)へると感じることもある。其が基やろか。さう考
へて一時落ち着いては見たが、どうにも腑に落ちない。仰向きに臥(ネ)た侭起き上が
れなくなつて了う原因とは思はれないのである。何より感覚がをかしいのだつた。
 夢見が悪かつた所為(セヰ)やろか。
と、呟いてみた。厭な夢の記憶が胸の辺りに蟠つて居るのを感じて居た。しかし、それ
しきのことが原因であらう筈がない。「ぐずぐず言うてんと、力(リキ)入れてちやつと
起きたろ」さう思ふと、頭を枕から擡げ上げた。
茶色の弓を並べた様な堅(カタ)相に膨(フク)れた節で覆はれた腹が見えた。
 なんやあ、おっきな毒虫になっとる。
びつくりしたが、最前から暗く蟠つて居た疑ひに行き当たつて、さらりともつれを解い
た。そして、崩ほれる様に頭を枕に落とした。
 あゝこれや、この所為なんや。くそたれ。
と、ぶるぶるからだがふるふのを覚へた。おれは、こんなんで兵子(ヘコ)垂れる餓
死(ガシ)んたれやないぞ。

<[もだもだ]のふたつめの[もだ]は濁点つき繰り返し記号。

99 名前:国枝史郎 投稿日:2000/09/01(金) 20:52
 場所はプラハ、日は朝まだき、勤め人がその家々で暮らしを再開する時刻であった。
グレゴール・ザムザは服地販売員、その年令は二十代であり、両親、妹とアパートに同
居していた。
 グレゴールは厭な夢から目覚めた。酷く悪い予感がした。しかし夢の中身を覚えてい
なかったから、どんな凶事が先にあるか解らなかった。
 恐ろしいことが起こらなければよいが!

 ベッドの上で仰向けのまま茫然(ぼんやり)していても仕方ないので、とにかく起き
上がろうとした。だが、それがが出来なかった。二三度試みたが、背中の丸みを中心に
ぐらぐらするばかりで、起き上がることが叶わなかった。グレゴールは嘆息した。凶事
とはこのことだろうか。しかしなぜかは見当がつかなかった。手足が効かないようであ
る。
「おかしいなあ?」と呟き、頭を擡げて腹を見た。
 グレゴールは度胆を抜かれ、周章(あわて)た。褐色で弓形の硬そうな節が連なって
いたのである。
「巨大な毒虫? しかしなぜこれが?」
 グレゴールはそう思った。

100 名前:日本放送連続ラジオドラマ怪人二十面相<誰も覚えてないって 投稿日:2000/09/01(金) 23:15
あなた、節いくつ持ってます?
くるぶしに、こぶし。腕っ節に、奥さんはプシイ。かつ節に、宗田節に、ペプシに、
文体模写にがっぷし。
フフフフ、この男、元は人間。体節はうんざりするほど。人が見るに人間サイズ毒虫。

グ:ふわーあーあーあ、朝か。やな夢だったな。あれえ?起き上がれないぞ。うんしょ。
ナ:グレゴール・ザムザは若い服地販売員。その朝、自分のベッドで仰向けだった。か
   れは身体を曲げ伸ばしして、起きようともがいた。そして、ひょいと頭をあげて、
   自分の腹を見た。
グ:エイヤッ。あっ! うわーっ! ゴッキー! でけーっ!
   いや待てよ?これは俺の腹か?
   茶色でテラテラ。プックリ。ゾロゾロ。うへー。

: ホーム :